スターチ・ソリューション

Dr. マクドゥーガル新刊書「スターチ・ソリューション」への招待

私が「スターチ・ソリューション」という本で紹介する真実は簡単なものです。そして、簡単だからこそ簡単に説明できることなのです。

私たちは生きるために食べなくてはなりません。しかし、何を食べるかというのは私たち個人の選択です。動物それぞれ種類によって、ある特定の食餌法が健康や活動や長寿のために適しています。人間にとって最適な食餌法はでんぷん主体の食餌法です。米、とうきび、ジャガイモ、さつまいも等を食べれば食べるだけ体がひきしまり、より健康になるのです。そして、その食餌法を選択することによって、私たちは地球を救うことにもなるのです。

私のこのような提案、つまり、でんぷん主体の食餌法のすすめを聞いてばかにしたような顔をする人もいるかと思うと、きちがいの戯言だと完全無視する人さえいます。このような人たちはでんぷんというものは洗濯物のしわ伸ばしにつかうものだとしか思っていません。そして、「でんぷん」という言葉を聞いたとき、味気の無いのりのような食べ物とかワンダーブレッドのようなふわふわした白い食パンを思い起こします。それよりなにより、一番気になるのは殆どの人がでんぷんを食べると太るとかでんぷんは食物として価値が低いものであると考えていることです。幸いなことに、このような考え方というものは完全にまちがっているのです。そして、その証拠は皆さんの目の前にあるのです。

私の言っていること、つまり、「人間がもっとも自然に食べるものはでんぷんが主体である」という考えが正しいということを証明する一番大切な証拠は、みなさんが自分自身で簡単に証明できます。健康でよい体格をした人たちはでんぷんを主体とした食事から熱量を摂取してきたということが歴史上の証拠から証明できるのです。例は、日本人、中国人をはじめアジアの人々です。この人たちは、さつまいもやそばや米を食べていました。南米のインカ族はジャガイモ、中米のマヤ族やアズテク族はとうきび、エジプト人や中東の人たちは麦を食べていました。北極圏のエスキモーのような厳しい自然の中で生き残った少数の民族だけがでんぷん主体の食事をしてきませんでした。ですから、過去1.3万年人間が何を主体に食べて生きていたかということが科学的に証明されているわけです。

穀類や野菜や果物を食べて生きた男性や女性たちが歴史上に残る偉大な仕事をのこしています。アレキサンダー大王((紀元356 – 323 年)やジンギスカン(1162 – 1227年)の大軍を含むヨーロッパやアジアの征服者たちはでんぷんを主体にした食事をしていました。シーザーの軍隊は肉食が多いと不服を申し立て、穀物食が戦いに適しているといっています。オオムギ、とうきび、粟、じゃがいも、米、小麦といった6種類の食べ物が人間の文明社会の熱量を支給していたのです。

原文

減量ではなく、健康のための食事 

翻訳中、、、、、

Eating for Health, Not Weight

by DEAN ORNISH

ニューヨークタイムズ2012年9月22日付け

ほぼアメリカの人口半分の人が減量のためのダイエットをしています - 人口3分の2が太り気味か肥満ですからあたりまえのことですが、この恐ろしい統計結果を考慮に入れて、ニューヨーク市のマイケル・ブルーンバーグ市長は大々的なソフトドリンクの販売禁止にとりかかりました。アメリカ中がカロリーの話題でもちきりです。今やマクドナルドも公開しています。しかし、減量を夢見る人たちには、こと食べ物に関しては、うその混じった提言がなされています。

たぶん、一番のまちがいは、何を食べようと体重さえ減れば健康になるという考えでしょう。しかし、何を食べるかは減量より大切なのです。やせていることと健康であることとは別なのです。太りすぎが病気や早死にかとリンクしているとは限りません。やせていようと太っていようと何を食べるかが何の病気になるのかを決定するのです。減量に効果のよいダイエットが長期間でみると健康の害になることもあるのです。

今年大々的に発表された研究によると、アトキンダイエットのような低炭水化物ダイエットがすみやかに減量するのに効果的であるとされています。結果として肉やバターを食べるのが減量や健康に繋がると言う印象を与えたかもしれません。

私が出資しておこしたノンプロフィット・プリヴェンティブ・メディカル・リサーチ・インスティチュートによる35年に渡る医学的な研究によると黒豆やベジタリアン・チリや焼いた野菜を添えたホールウィートの麺類を主に食べた患者は重症の冠状動脈不全でさえも完全回復を果たしました。この患者たちは適度の運動とストレス・マネジメントとグループサポートを同時に行いました。このプログラムで患者たちは血液の流れを向上させ心臓病や癌の温床となる慢性炎症を軽減させたことも認められました。このプログラムで前立腺癌の進行を和らげるか停止させるか、もしくは完全回復させることも可能であることがわかりました。また、タイプ2の糖尿病の進行もさまたげることがわりました。

その上、たったの3ヶ月で500以上の遺伝子の遺伝子発現を変えることも認めました。癌から守る遺伝子をオンにして、乳がんや前立腺がんや炎症や酸化ストレスを促進させる遺伝子をオフにするのです。

このプログラムは、私たちの寿命をコントロールするといわれるクロモソームの先端にある末端小粒の長さを延ばし、テロメラーゼ促進にも関連しています。末端小粒が長くなると寿命が長くなる可能性があります。

ランダム・コントロール実験の結果、この生活習慣にのっとったプログラムでは、一年で平均24ポンド減量し、続く5年間に12ポンドの減量を達成しました。どのような年齢であろうと、このプログラムに厳密にしたがえばしたがうほど改善が強くみられることがわかりました。

低炭水化物とか低脂肪ではありません。最善の食餌法というのは、砂糖や精製炭水化物などの非健康的な炭水化物をとりのぞくことや、飽和脂肪やトランス脂肪酸を除いた低脂肪食をめざすことや、赤い肉やプロセスプードをとりのぞくことです。

何を食べるかは何を取り除くかと同じぐらいたいせつです。

your diet needs to be high in healthful carbs like fruits, vegetables, whole grains, legumes, soy products in natural, unrefined forms and some fish, like salmon. There are hundreds of thousands of health-enhancing substances in these foods. And what’s good for you is good for the planet.

Calories do count — fat is much denser in calories, so when you eat less fat, you consume fewer calories, without consuming less food. Also, it’s easy to eat too many calories from sugar and other refined carbs because they are so low in fiber that you can consume large amounts without getting full. Sugar is absorbed so quickly that you get repeated insulin surges, which promote Type 2 diabetes and accelerate the conversion of calories into body fat.

But never underestimate the power of telling people what they want to hear — like cheeseburgers and bacon are good for you. People are drawn to Atkins-type diets in part because, as the study showed, they produce a higher metabolic rate. But a low-carb diet increases metabolic rate because it’s stressful to your body. Just because something increases your metabolic rate doesn’t mean it’s good for you. Amphetamines will also increase your metabolism and burn calories faster, which is why they are used to help people lose weight, at least temporarily. But they stress your body and may mortgage your health in the progress.

Patients on an Atkins diet in this study showed more than double the level of CRP (C-reactive protein), which is a measure of chronic inflammation and also significantly higher levels of cortisol, a key stress hormone. Both of these increase the risk of heart disease and other chronic diseases. A major research article published recently in the British Medical Journal studied 43,396 Swedish women over 16 years. It concluded that “low carbohydrate-high protein diets … are associated with increased risk of cardiovascular diseases.” An important article in The New England Journal of Medicine examined data from a study showing that high-protein, low-carb diets promote coronary artery disease even if they don’t increase traditional cardiac risk factors like blood pressure or cholesterol levels. A diet low in fat and high in unrefined carbohydrates caused the least amount of coronary artery blockages, whereas an Atkins-type diet caused the most.

Outcomes from more than 37,000 men from the Harvard-sponsored Health Professionals Follow-Up Study and more than 83,000 women from the Nurses’ Health Study who were followed for many years showed that consumption of both processed and unprocessed red meat, a mainstay of an Atkins diet, is associated with an increased risk of premature death as well as greater incidence of cardiovascular disease, cancer and Type 2 diabetes.

About 75 percent of the $2.8 trillion in annual health care costs in the United States is from chronic diseases that can often be reversed or prevented altogether by a healthy lifestyle. If we put money and effort into helping people make better food and exercise choices, we could improve our health and reduce the cost of health care. For example, Medicare is now covering this program for reversing heart disease. In an increasingly polarized political landscape, this approach provides an alternative to some Republicans who want to privatize or dismantle Medicare and some Democrats who want to simply raise taxes or increase the deficit without addressing the diet and lifestyle choices that account for so much health spending.

This way of living helps you lose weight and keep it off while enhancing rather than harming your health.

Dean Ornish is a clinical professor of medicine at the University of California, San Francisco, and the founder of the Preventive Medicine Research Institute.

ダイエットをめぐる戦い

下のビデオは英語ですが宜しかったらご覧下さい。

The Diet Wars

2012年 9月 7日~9日収録
マクドゥーガル・アドバンスドスタディー・ウイークエンド


善と悪の戦いは、植物ベースの食餌(高炭水化物)と動物ベースの食餌(低炭水化物)の戦いです。私たちの将来がかかった戦争です。しかし、植物ベースの食餌法を掲げる社会の中にある領土問題を解決しなくてはなりません。聖書が書かれたばかりの時代でさえ(ダニエル)植物ベースの食餌法を説いています。

運動をして気分を良くする

健康的なダイエットとライフスタイルをし、適切な睡眠時間をとり、太陽の光を浴び、運動すれば、一生健康な精神状態が保持でき、そして体も健康になります。肥満や体が健康ではない人は精神的にも健康ではないことが多いです。そんな人達にとっては、自分のコンディションに望みがないように感じられます - 苦しみが増え、徐々に動けなくなり、早死に向かって健康が傾いて行くという将来が待っているからです。西洋ダイエットを続ける人達のほとんどが鏡をみたり、自分の薬箱をみただけでもうつ状態になるのは当然です。正しいダイエットとライフスタイルを選択するだけでこのような苦しみから逃れることができるのです。

体の病気と肥満にうわのせしてくる問題は、うつの症状や高血圧、心臓病、糖尿病などの投与剤による一般的な副作用です。悪評高い例にはカルシウムチャンネルブロッカーとして知られている高血圧治療剤です - この薬を使っている患者の自殺の確立は使っていないひとたちより5.4倍も高いのです。

原文

お金がかからないのに無視されている治療法

もう皆さんは神経化学物質の役割をご理解なさったでしょう。特にセロトーニンは私たちのムードの調節に大切です -そして、健康的な食べ物やライフスタイルはセロトーニンの働きを活発にし、元気で幸せな状態を作り上げてくれます。医薬品業界はこの働きを抗うつ剤を使って真似しようとしています - しかし、どんな薬もおなじなのですが、期待したような結果はでません。薬は高くいつも危険な副作用があります。

ウェークセラピーやライトセラピーやダイエットや運動は特許をとることが出来ませんから医療・医薬品業界はこれらを使ってはお金儲けが出来ません。しかし、これらの療法は患者を速やかに治すばかりではなく副作用も出ません。うつ病がどんなに苦しいものか考えたら - 生活のダメージ、家族崩壊、殺人、自殺 - そして医療経費に対する負担 - なぜこれらのすばらしい、無毒な治療法が無視されているのは不思議です。

たぶん、抗うつ剤の副作用と高価な費用に直面した患者たちはじきに抗うつ剤の他の治療法を考えるようになるでしょう -ダイエットとライフスタイルという、 効能が高く、速やかに効き、自己コントロールが出来、自己処方、無料で、耐え切れ、無毒の治療法です。

残念ながら、これらの治療法はお金儲けの道具にはならないので、ほんの一握りの人達しか利用しないでしょう - 有意義な命に興味があり、正しい情報の把握に努力し、自分や家族のためになろうと努力する人達だけです。

原文

睡眠マネージメント

うつの状態からはやく立ち直る必要がある人は睡眠時間を完全に抜いて、徹夜をすることが一番手っ取り早く良い方法です。しかし、長期間効果を続行したいというなら、睡眠時間を減らすことが最良の方法で、この方法でうつから立ち直れた人は多くいます。睡眠時間の管理はひとりひとりの「必要性に応じて」各自が自分で試してみて調整しながら自分にあったプ管理をするのが最適です。「正しい睡眠時間」は自分が試してみて自分が睡眠にどのように反応するかみながら決定するものです。

充分な休みが得られないことによっておきる疲れと、睡眠過多によって起きるうつ状態に入る自分の精神状態のバランスをみつけてください。今うつ状態であるなら、まず最初の段階として睡眠時間を1,2時間減らします。それから、自分の体がその睡眠時間になれる期間をあたえます -1,2日間はけだるさを感じることはしょうがないことですがその期間のうちに気分が良くなるのに気付くはずです。自分の疲れた感じと精神状態を考慮して、30分ほど睡眠時間を増やしたり減らしたり調整します。

人によっては睡眠時間を減らしてみることで何週間もうつの状態から開放されることがあります。その人が、又うつの状態になり始めたら、また睡眠時間を減らしてみればよいことです。人によっては一日ぐっすり眠ってしまうことで完全にうつの状態に戻ってしまうこともあります。またある患者は睡眠のうつの効能に敏感で、2分から15分の短い昼寝でもうつ状態に入ってしまう人もいます。

朝は「ウェークセラピー」を試みるのに良い時間です - 言い換えれば、目覚ましをかけて早起きをすることです。朝早く起きるということは太陽の動きと自分の睡眠・起床時間を合わせるという点で効果が高いものです。

殆どの人が、精神衛生に効果の高い紫外線の働きを受けずに、夜明け前の貴重な時間を眠ってすごしてしいます。貴重な朝の時間にあなたの目が朝日に浴するということで脳の化学物質を改善するという結果に導くことが出来ます。

原文

栄養

うつの原因となる栄養失調の改善

一日のカロリー摂取分の20%が脳の栄養として使われます。思考の内臓である脳の最高の燃料は炭水化物です - 具体的に言うとグルコースが脳にとって主な代謝エネルギーだということです。平均的な西洋人は炭水化物不足のダイエットをしています - カロリー摂取分の40%以下が炭水化物からきています(70%以上が理想です)。尚、アトキンズや、サウスビーチやプロテインパワーなどの低炭水化物ダイエットをしている人はこれよりも悪く、カロリー摂取分の10%以下が脳の燃料である炭水化物なのです。

これでは、アトキンズダイエットをしている人の脳の働きが正常でないのは無理はありません。このダイエットをしていると、炭水化物不足になり、うつをとりさってくれる、脳の中の神経化学物質セロトーニンが低下することが主な原因です。

食べ物から摂取される炭水化物でセロトーニンの量は自然に増加させられ、その結果、セロトーニンが精神安定剤の役割を果たすことによってうつの状態が軽減され、機嫌が良くなります。

高炭水化物摂取が人の機嫌を良くすると言うことは、特に炭水化物摂取量が高く、菜食主義に殆ど近いダイエットをしている運動選手たちの間で、実証されています。

今述べたことがポピュラーな抗うつ剤(SSRI)の働きと酷似していることを思い起こしてください - SSRIは脳の中のセロトーニンのレベルを上げる働きをする薬です(この薬は高炭水化物ダイエットをしている人には必要ないものです)。

高炭水化物ダイエットをしている人達は睡眠時間が少なく、高質の睡眠をし、夢をよく見ると報告されています。 (睡眠時間が少ないということは、うつ状態が低いということです。食事と生活スタイルがお互いに働きあっているということが解るでしょう。)

高炭水化物ダイエットに変えるとレム(REM)の時間が長くなるということが脳波図を使った研究で実証されています。REMが活発であると、寝ている間に体の動きも活発で夢をみることも多くなります -これが、良いねむりです。

原文

太陽は輝きをもたせる

私たち殆どの人が冬になると気分が沈んでしいます。そして、つかれ、やるきのなさ、ねむけ、けだるさ、眠気、だるさ、食欲増加、体重増加、過敏症、社交時間の軽減などの典型的な冬型うつ病の症状が出ます。このような、よくありふれた症状を季節性情動障害といいます - 冬にうつになり春や夏に正常に戻るタイプです。脳における神経伝達物質 - セロトーニンなど - がこのような症状の原因であるかもしれません。解決法は、生活環境を変えて日光浴の時間を増やすことです - 人によっては雲に覆われた冬を避けて常夏の砂漠で冬を過ごすのもよいことです。

また、人工日光浴という手段もあります。伝統的な方法としては、季節性情動障害の患者が電光浴をします。これは、冬、毎日2000から10000ルックスの光を30分から120分あびることです。この光療法は季節性情動障害のほかのうつ病の患者さんにも効きます。

光療法の効能は抗うつ効能のすみやかさにあります- ほんの2、3日で効果が見られます。再発防止は「ウェークセラピー」を併用することで確保できます。

原文

うつ病が一晩で楽になる

うつ病の原因解明と解決策はみなさんの手近にあるものです - そして、最大の強力な解決策は目覚まし時計をかけるという簡単なものなのです。「ウェークセラピー」 (断眠セラピー)は一晩徹夜するか、極端に睡眠時間を減らすことですが、その実行によってうつ病患者の60パーセントの人が気分が良くなったとほうこくしています。このうつ病患者はどのような原因でどのような程度の患者さんでも同じです。

この治療法は、極度のうつ状態の精神病患者(多くの人が自殺を図りかねない極度のうつ)が数時間睡眠を取らせなかっただけで正常な精神状態に戻ったという観察を元に、35年ほどまえに考案されました。男性も女性も同じような成果でした。

この、無毒で自己管理の治療法は年齢にも、入院歴にも、うつ病にかかっている期間の長さや強さにも関係なくよく効きます。躁うつ病、精神分裂病、月経前失調症や単にうっとうしいという気分の解決法でもあります。睡眠不足がうつの原因だと信じているひとにさえもこの「ウェークセラピー」が効いたのです。

この「ウェークセラピー」が一番よく効いたのは、一日のうちの感情の変化がいちじるしい患者たちです。朝、目覚めに機嫌が悪く、夕方にかけて徐々に機嫌がよくなるというパターンの患者は断眠法がよく効きます - 前の夜の睡眠時の「うつの効果」が、起きてる時間が長くなるにつれ効果を弱めるといったケースの患者です。

睡眠はうつの状態をひきおこすもので、睡眠は「ディプレッソジェニック」(うつ状態発症因子)であると心理学の学術誌にとりあげられています。覚醒状態は「反ディプレッソジェニック」です。この原因はセロトーニンにあるとされています。セロトーニンは目が覚めている状態で最大、睡眠時に最小限の働きをあらわします。(SSRI剤の効果と同じです。)

断眠は診断ツールとしても使えます。老齢の患者の場合、よく、うつ病と痴呆症がいっしょにされたりします。老齢者の場合、うつ病のせいで反応が遅いと、それが、痴呆症の始まりだと勘違いされたりするからです。老齢者は外の世界に対する興味が減少することで、睡眠時間が長くなってしまうケースが多いのです。

よくあるケースは次のとおりです。長年の就職期間に活発に仕事をしていた人が、急に引退してしまうと、眠る以外にあまりすることがなくなり、頻繁に眠るようになったりします。すると、夜の睡眠時間や昼寝が溜まり、うつ状態がひきおこされます。そして、医者に行き、睡眠薬を処方してもらい、余計に眠る時間を増やします。そうすることで、逆にうつの原因を拡大することになるのです。結論としては、意気消沈した老齢者は「ウェークセラピー」で元気を取り戻せるということです。「昔のスケジュール」に戻してやることが「昔の自分」を取り戻すことなのです。

睡眠時間のコントロールで気分を持ち上げるという方法はなにもうつ病患者に限ったことではありません - 睡眠時間を減らすことが、「正常書」の気分向上に役立つという研究結果が報告されています。

これらを考慮に入れると睡眠時間を操作することでほとんどの患者が抗うつ剤から逃れ、感情的にも満足できる生活が出来ることがわかります - 自分で自分の感情をコントロールする能力をあたえるからです。

断眠による重大な副作用は感情の起伏が激しくなり躁状態をひきおこす可能性があることです。みなさんも(試験の前とか仕事の忙しいときとか)何日も寝不足で過ごしたときのことを思い起こせば、自分が軽薄になったり、マニックになったことを思い出すかもしれません。ですから、睡眠妨害をなくしたり、睡眠時間を増やすことが躁状態の人には役にたつでしょう。

「ウェークセラピー」の副作用には、眠くなったり、けだるくなったりするということもあります。ですから、車の運転や危険な機械の取り扱いには十分注意しなければなりません。

原文

うつ病の自然治療法

アルドゥス・ハックスレイは1932年に「果敢なる新世界」で、そしてジョージ・オーウェルは1949年の本で、将来人間は気分を持ち上げる薬にうつつをぬかすであろうと予言しています。その将来というのは現在のことなのです。アメリカでは年間80億ドル以上、世界中では年間千二百億ドルが、不幸せな生活から逃れようとして、何百人もの人が抗うつ剤にお金を使っているのです。私の経験では40パーセント以上の中年女性が抗うつ剤にたよっていたのも目撃してます。

40歳以上の人は自分の友達や親戚が医者の処方する精神をコントロールする薬に頼っていなかった時期を知っているでしょう。そのころはいったい何がちがっていたというのでしょうか。ある人は現在の生活は昔より大変だというかもしれません - しかし、私はそう思いません。1930年代の世界大恐慌や西洋における第二次世界大戦などは私たちが現在経験しているよりもずっと大変な苦しみがあった時代の二つの例です。実際、現代の文化的国家に住む人たちよりも楽な生活を送っていた時期が歴史上にあったとは思えません。

心地よいベッドやソファーや近所のファストフードレストランのように、あなた方がすっかりなれ親しんでしまった、抗うつ剤の処方が流行した明確な理由があります。人間は今現在人類史上身体や精神の最悪の健康状態に直面しているのです - 食餌とライフスタイルが原因です。そして、衛生や免疫や伝染病から救ってくれる抗生物質のおかげで私たちはこの哀れな病気の状態で長生きしているのです。

心の痛みと体の痛みの区別ははっきりしていません - 人はたとえ薬を使って自分の心を変えてしまうことになってしまってもかまわないから、やっきになって楽になる方法をさがしています。たくさんの苦しんでいる人たちからもうけているのは病気の根底にある原因を除くこと以外は全てやろうとしている製薬会社です。精神の「健康」は盛んに悪用されている市場分野です。

1988年にプロザックが盛んに売り出されてから(最初は医者に、現在は消費者に直接に)、何百万人もの人が精神病患者だと信じ、抗うつ剤が必要だと信じています。問題をはっきりさせると、抗うつ剤はあまりにも一般的になりすぎて、医者が、特にうつの軽い病状の患者にでさえも簡単に薬を処方してしまうことにあります。しかし、これも薬の副作用がひどくなれば変わるかもしれません。

2004年3月22日月曜、アメリカ食品医薬品局は、特にセラピーの第一週目には自殺をしやすくなるので、医者は服用の初めの時期と内服量を変えたときに患者を絶えず監視しなくてはならないと忠告しています。子供は特に、これらの薬によって引き起こされたうつの状態や不安定や自殺に対してさらに強い傾向をみせています。この報告を通して、人々が薬依存から立ち直る方法を考えたり、さらに欲を言えば、うつの状態を薬に頼らずにのりこえる方法を考えるようになってくれることをのぞんでいます。

原文